本物をつくるー建築現場から Vol.044

土屋ホーム 圭幌エリア

 土屋ホームでは家づくりに欠かせない部材を自社工場や地域指定工場で一貫生産しています。自社工場があるのは、札幌市の隣、北広島市の大曲工業団地。広い工場内では、骨組みとなる構造材のプレカット加工から、屋根や壁のパネル製作まで、たくさんの技能士がきびきびと働いています。このうち今回は、壁や屋根のパネルづくりを手掛ける「パネル班」を紹介しましょう。

パネルの製作が工期の短縮に

 取材に訪れた日、パネル班は工場の奥でリズナスの屋根の垂木を組み立てていました。細長い木材を井桁に組み合わせ、天井のクレーンで吊り上げて角度を変えながら息を合わせて作業を進めます。「屋根の垂木と小屋のパネルなら4人のチームで1日半程度。壁も合わせて1棟分のパネルを仕上げるなら3日ほどかかります」。こう教えてくれたのは紺野慎職長。土屋アーキテクチュアカレッジを卒業して19年目、工場のパネル班に配属されて3年目のベテラン職人です。「あらかじめ工場で組み立ててから運ぶので、現場で手作業で組むのに比べると工期が短縮でき、技術的なムラもありません」

工場で働くパネル班の技能士はいわば縁の下の力持ち

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 住宅の設計図が届くと、工場ではまずそれに合わせてパネルの図面を起こすところからスタート。必要な木材に目印となる墨付けをしてから組み立てます。現場の職人の手間を減らせるよう、断熱シートの貼り付けまで行う場合も少なくありません。運搬の途中で破損しないようにしっかり梱包してトラックで現場へ運びます。「パーツができていると、現場ではプラモデルみたいに組み立てられます。自分たちがここできっちりと仕上げることで、現場の職人の仕事が楽になる。そんな縁の下の力持ちみたいな存在になれたらいいですね」。パネル班の役割を説明する紺野職長の言葉にも自然と熱が入ります。

人一人が意識する高品質への責任

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 「気をつけているのはミスをしないこと。図面を起こす時、墨付けの時、梱包の時、作業ごとに確認するようにしています」と紺野職長。また、工場内は木材が高く積み上げられていたり、フォークリフトが走っていたりするので、事故がないように安全面にも気を配っています。部下の相原技能士、遠藤技能士はともに経験10年ほどの中堅社員。これからリーダーとして活躍してもらうため、指示を出す役目をあえて彼らに任せ、根市職長と紺野職長がその指示通りに動くトレーニングをすることもあるそうです。
 技能士のヘルメットに貼り付けられている生産部のスローガンは「誰ひとり妥協を許さない責任品質。」品質を守る責任は、技能士一人一人にあることを忘れないよう、常に目につくところに貼り付けてあるそうです。紺野職長自身も5年前にマイホームを建て、その責任をあらためて実感。実際に暮らしてみて、土屋ホームの家が暖かいということも身を持って体感したそうです。

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 いま何より気がかりなのは、新型コロナウイルス感染症の終息について。「万が一工場で感染が広がってしまったら、全ての現場がストップしてしまうので、コロナ禍になってから一度も外食をしていない」という紺野職長。気を抜くことなく徹底した感染対策を続けています。現場でクレーンを使えるかどうかなど制約もあり、現在、自社工場で製作したパネルを使っているのは札幌圏の一部の住宅だけですが、将来的にはより規模を拡大していく予定。高品質の住宅をなるべく短い工期で完成させるための工夫は、これからも続きます。