本物をつくるー建築現場から Vol.036

土屋ホーム 建築現場から

この仕事で生きていく、その覚悟の大切さを後輩へ

 開校から四半世紀以上の歴史を刻み、多くの技能士たちを輩出しているアーキテクチュアカレッジ。今春も同校の課程を修了し、施工現場での修業の第一歩を踏み出した技能士たちがいます。そうした若い技能士の大きな目標となっているのが、二十年以上も前にカレッジを修了した一期生から五期生までの先輩技能士や職長たち。今回ご紹介する第三期卒業の定岡直也職長も、多くの後輩から目標とされているベテラン棟梁の一人です。
 定岡職長は、現場経験のまだ浅い二十歳のころを「年の近い先輩と後輩が切磋琢磨する毎日だった」と振り返ります。昔気質の親方の指導は、「何度心が折れかけたか分からない」という厳しさ。技能士たちも「一つでも多くの工程を自分に挑戦させてほしい」と、経験を積む機会を奪い合うように競っていたと言います。
 一人前の技能士となり二十代半ばに職長に昇格。北海道内の地方都市の現場を経験して札幌に戻ったころには、若い技能士を指導する立場にもなりました。
 そうして、今では指導した技能士が職長へと育っています。

  • 黄色いヘルメットの岡職長と佐藤直哉職長のコミュニケーションも密に
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 こちらの現場をともに担当するのは、佐藤直哉職長。定岡棟梁は「仕事のできる頼もしい後輩ですよ」と、安心して仕事を任せている様子です。四十代半ばにさしかかった今、定岡職長は、自身の修業時代の経験をもっと若い技能士たちに伝えたいという気持ちが強くなっています。二昔前とは時代の風潮も違うので、真似をせよとは言わない。でも、この仕事で生きていくのだという覚悟を持つことの大切さは、いつの時代も変わらないはず──。
 「自分に恥じない仕事をする。それが職人のプライド」と言う定岡職長ならではの、後に続く技能士たちへのエールです。